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文通費の使途限定や返還をルール化できるか 今国会中の与野党意見集約難しく - 東京新聞

 国会議員に月100万円支給される「文書通信交通滞在費(文通費)」問題は、日割り支給などの改正法が成立し、今後の焦点は使途の限定や公開、未使用分の返還をルール化できるかに移っている。改正法は、目的外使用が常態化している実態を合法化するような内容で、識者らから批判が噴出。議員たちは「これからの議論で使途を制限する」と反論するが、国民の理解を得るためには結果が問われる。(井上峻輔)

◆改正法に透けて見える思惑

 「今まで厳密な意味で使途の限定はなく、しっかり限定していく方向性は一致した」。与野党6会派による協議会が再開された4月21日、寺田学事務局長(立憲民主党)は記者団に今後の方針を説明した。

 改正法では名称を「調査研究広報滞在費」に改め、目的を「公の書類を発送し、公の性質を有する通信をなす等のため」から「国政に関する調査研究や広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うため」に変更した。広報や交流という表現から、使途を限りなく広げたい思惑が透ける。

 多くの議員は「そもそも従来が無制限だった」と主張するが、改正前の名称や目的から、使途は国会活動の必要経費などに限られると考えるのが妥当だ。公開も領収書添付も不要のため、議員側が「何にでも使える」と判断し、選挙活動などを含め自由に使っていたのが実態。共同通信の4月の世論調査で「使途を公開すべきだ」との回答が88%に達するなど透明化を迫られ、慌てて議論を始めた印象は否めない。

◆政治活動への資金「二重取り」

 では、現状の使途はどうなっているのか。各党に先駆け、文通費の自主公開に踏み切った日本維新の会の資料が参考になる。

 最新の昨年12月分を本紙が集計したところ、47人の使途の5割が政治団体である地元の政党支部や自らの政治資金管理団体への「寄付」だったことが判明。政治団体なら選挙を含む政治活動全般に支出できる。他党にも政治団体に寄付している議員はいるが、自由に使えるよう「迂回」させているようにも見えるため、維新はその後、誤解を招きかねないとして寄付はしないと申し合わせた。

 寄付以外では、地元事務所の家賃や人件費など政治活動のためとみられる支出もあった。政治活動の資金としては、税金を財源にした政党交付金が存在する。受け取っていない共産党を除き、年320億円もの巨費が各党に分配されている。文通費の寄付や政治活動への使用を認めれば、共産党以外はお金の「二重取り」にほかならない。

◆「べからず集」だけでは抜け穴

 与野党は今国会中に使途の範囲や公開の結論を得ることで一致。まず「使ってはいけないリスト」を作成することを決め、大型連休明けに案を持ち寄る。寺田氏は「法文上も選挙活動は論外」と強調する。

 ただ、自民党内などには使途限定や公開への慎重論が強い。与野党は昨年の臨時国会で合意を得られず、今国会では日割り支給と名称・目的変更を先行させた。6月15日までの会期中の意見集約は見通せない。

 全国市民オンブズマン連絡会議の事務局長を務める新海聡弁護士は、使途に関し「『べからず集』だけでは議員は抜け穴を探す。何に使うべきかを明確に定めるべきだ」と指摘。選挙活動や政党活動などへの使用を認めていない地方議員の政務活動費を引き合いに「納税者に説明できる使途にすべきだ」と求めた。

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