近ごろ都に流行るもの
新生児をプロが出張撮影する「ニューボーンフォト」が人気だ。おなかにいた頃の胎児の面影を残すフニャッとした独特のかわいらしさ。撮影のチャンスは生後28日未満(新生児の定義)という期間限定。多くの人は出産前から予約を入れている。欧米発の習慣だが、依頼者と写真家をマッチングする仕組みが登場し、日本でも一気に普及した。産後のママはさぞかし大変では? と思いきや、撮影自体が気分転換になっているという。撮影に同行した。
写真家に安定収入 1千万円超も
「きゃー、かわいい!」
クマの耳付き帽子とおくるみに着替えた赤ちゃんに、ママと祖母の歓声が上がった。
第1子の陽太くんを産んで12日目の看護師、鈴木里咲さん(28)。都内の実家に里帰り中のタイミングで撮影に臨んだ。妊娠中。母親の近藤晶代さんがウェブに投稿されているニューボーンフォトを見つけて「こういうのやらない?」と提案。「私の出産時はなかった。首が座る前と後では全然違うから、最初の姿を残してあげたい。娘もやりたい、やりたいって、最終的には全て決めていました」と晶代さん。
写真家の青柳理沙さん(42)は、大量のおくるみや小道具を持参していた。それらを駆使して、さまざまな状況設定や背景を創り出す。出生時刻に合わせた時計も入れ込んで「撮っておけば忘れない、喜びの瞬間」と青柳さん。自身も2人の小中学生を持つママで、赤ちゃんの扱いは慣れたもの。撮影中も目を覚ますことはない。
後半は家族も一緒に写真に納まった。里咲さんは、誇らしさが漂う母親の表情だ。「撮影は楽しくてあっという間でした。わが子がめちゃくちゃかわいくて、仕上がりが楽しみ。産後は出かける所もないので、いい気分転換になりました」
◇
青柳さんが登録する、ピクスタ(東京都渋谷区)「フォトワ」は、依頼件数日本1の出張撮影プラットフォームだ。お宮参りや七五三を想定して平成28年にスタートしたが、現在はニューボーンフォトの依頼が最も多く、昨年は8957件、4年間で36倍にも増えている。
全国1100人超の登録写真家はカメラ技術だけでなく、人柄やコミュニケーション力、撮影実技審査を経て合格したプロの職人たち。一方、撮影を依頼したい人は、フォトワのサイトから写真家の作品やメッセージ、プロフィル、口コミなどを見て選ぶ。中でも青柳さんは依頼件数1位の売れっ子で、1日2件ペースで撮影に回っている。料金は誰に依頼しても、平日2万1780円、土日祝日2万6180円(撮影1時間、写真データ40カット以上)。データは顧客の自由に使える。
「一律価格で指名料などもかからない。ハイクオリティー・中価格帯を狙った。写真家に活躍の場を提供し、適切な報酬を支払う仕組みでもある。多数の依頼を受けている方には、年間1千万円以上をお渡ししている」とフォトワ事業部の李せい部長(35)。
「子供写真ではなく、家族写真であることが大事だと思っています」とも。自身は20歳で中国の家族のもとを離れ、経営の勉強で来日。「大人になってから、大切な家族のアルバムに父親の姿が写っていないことに、寂しいなと感じていた。撮る側だけになっているお父さんも、一緒に家族の思い出を残してほしい」。事業立ち上げに至る思いを振り返った。
少子化が進むなかでも、子供・家族写真の需要が拡大している背景については「半年ごとのハーフバースデイ、9~10歳のハーフ成人式など、子供の記念日と撮影の機会が増えた。季節を問わず依頼のあるニューボーンフォトも、まさにその流れにあります」
新生児に撮影の記憶は残らなくても、大きくなったときに写真を見て、自分が大歓迎されて生まれてきたことを知る。そこが一番の価値かもしれない。(重松明子)
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