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限定的な反撃能力を持つべき 折木良一・元統合幕僚長 - 東京新聞

<安保戦略見直し~私はこう考える>

 昨年11月、私を含む防衛省・自衛隊の元幹部8人で政府の外交・防衛政策の長期指針「国家安全保障戦略」の改定に向けた提言を自主的にまとめ、同省などに提出した。現行の安保戦略ができた9年前と比べ、中国や北朝鮮などを含む安保環境は厳しさを増した。無人機やミサイル技術の進歩など戦い方も変わって備えを見直す必要があり、20回集まって議論した。

折木良一・元統合幕僚長=東京都千代田区で

折木良一・元統合幕僚長=東京都千代田区で

 その提言では専守防衛の見直しをはじめ、敵基地攻撃能力を含む反撃能力の保有、防衛費を国内総生産(GDP)比で2%への増額を求めた。

 専守防衛の理念は1970年に初刊行された「防衛白書」で「専守防衛は、憲法を守り、国土防衛に徹するという考え方」と定義された。それが政治の場で議論される中で、保持する防衛力は「必要最小限」に限るなどと変遷した。

 憲法にのっとり国土防衛に徹するのは当然だ。だが、防衛力整備を最小限に縛ることはない。国民を守るために何が必要かを考えるべきだ。

 中国などは日本を射程に入れる中距離ミサイルを持つが、日米は持っておらず、そのことで地域が不安定化している。日本も敵基地などをたたく反撃能力を抑止手段として持つべきだ。

 ただ反撃の対象は、ミサイル基地やそれに関連する指揮統制機能、レーダーや通信施設に限るべきで、相手の首都などを狙った報復攻撃は許されない。指揮統制機能とは広い意味では政治中枢も指すかもしれないが、それは現在議論されている反撃能力とは異なるものだろう。

 日本周辺の安保環境の厳しさを考えれば防衛費の増額は必要だ。宇宙やサイバー分野、不足している弾薬など所要経費を積み上げればGDP比2%ぐらいになる。厳しい国家財政ではあるが、国民に理解を求めながら議論を進めるべきだ。(聞き手・川田篤志)

 おりき・りょういち 1972年に自衛隊に入隊し、2009〜12年に自衛隊制服組トップの統合幕僚長を務めた。12年に退官。今年2月、国家安保戦略の改定に向けた政府の有識者会合に出席。熊本県出身。防衛大卒。72歳。

◇  ◇

 政府が「国家安全保障戦略」などの年末改定に向けて検討を進める中、さまざまな考えを持つ国会議員や有識者らに聞いています。

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